私がめざすのは、
  日本を元気と生きがいのある社会にすること。
  そのためには、あらゆる世代の人々が自分に合った医療や治療法を
  気軽に安心して利用できることが必要です。 
  自立的な健康を手に入れ、生きがいのある仕事と充実した生活を共存させ、
  生き生きと人生を楽しんでいること。
  私はそんなネットワークを創りたい。

  それを実現するためには、『がんばらない、でも、あきらめない』ことが肝心。

  『がんばらない』とは、一生懸命にならないことではなく、
  自分の気持ちや身体からのメッセージを無視してまで
  「仕事」や「他人」を優先しすぎないこと。

  それさえ気をつけて夢をあきらめなければ、
  『本当にどんなにつらいことでも、
  それが正しい道を進む中での出来事なら、
  峠の上りも下りもみんな、
  本当の幸いに近づく一足ずつなのだ』

2006年10月05日

マザー・テレサの瞳

ある女性がインドを訪ねて、マザー・テレサの仕事を見学したとき、
彼女は思わず呟きました。
「百万ポンドをやると言われても、私にはできません。」

すると、マザーは打てば響くように答えたといいます。
「私にもできません。」

マザーテレサ.jpg

ここで二人は一致して「ほんとうに同感」という表現をしていますが、
実は全く別のことを言っています。
先の女性は「とうてい私はこの仕事はできない」と百万ポンドに託して嘆息しているのですが、
マザーは「お金のためというのならどんなに大金であっても私にはできない」といったのです。


正直言って、マザー・テレサのような献身を僕にはできません。
お金にも大きな価値があると思います。

それでも、お金のためだけではなく、日々働いている仕事の
その先を見つめたいという想いは少なからずあります。

コトバではなく大切なのはその想いと志。
自分ひとりではなしえない何かに全力で取り組むこと。
それは、次の時代への切なる祈りなのではないでしょうか。

「自分のために」が当たり前の現代に「他人のために」を貫き通したマザー・テレサは
まさしくその祈りを使命としてその生涯を生き抜いたんだと思います。
そして、詩人の茨木のり子さんはそんなマザーの生き方を見事に、そして謙虚に
『マザー・テレサの瞳』において描き出しています。


マザー・テレサの瞳は
時に、猛禽類のように鋭く怖いようだった
マザー・テレサの瞳は
時に、やさしさの極北を示してもいた
二つの異なるものが融けあって
妖しい光を湛えていた
静かなる狂とでも呼びたいもの
静かなる狂なくして
インドでの徒労に近い献身が果たせただろうか

マザー・テレサの瞳は
クリスチャンでもない私のどこかに棲みついて
じっとこちらを凝視したり
またたいたりして
中途半端なやさしさを撃ってくる!

鷹の眼は見抜いた
日本は貧しい国であると
慈愛の眼は救いあげた
垢だらけの瀕死の病人を
――なぜこんなことをしてくれるのですか
――あなたを愛しているからですよ
愛しているという一語の錨のような重たさ

自分を無にすることができれば
かくも豊饒なものがなだれこむのか
更に無限に豊饒なものを溢れさせることができるのか
こちらは逆立ちしてもできっこないので
呆然となる

たった二枚のサリーを洗いつつ
取っかえ引っかえ着て
顔には深い皺を刻み
背丈は縮んでしまったけれど
86歳の老女はまたなく美しかった
二十世紀の逆説を生き抜いた生涯

外科手術の必要な者に
ただ包帯を巻いて歩いただけと批判する人は
知らないのだ
瀕死の病人をひたすら撫でさするだけの
慰藉の意味を
死にゆくひとのかたわらにただ寄り添って
手を握りつづけることの意味を

――言葉が多すぎます
といって1997年
その人は去った


(茨木のり子 筑摩書房刊「倚りかからず」より『マザー・テレサの瞳』)


・参考図書:和田町子著「マザーテレサ」清水書院
・マザーテレサに関する以前の日記はこちら
・茨木のり子さんに関する以前の日記はこちら@ A 

posted by どぅー at 00:24| Comment(12) | TrackBack(2) | 心に響く言の葉 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
この詩を知ってるのと知らないのとでは
生き方に大きな差が出ると思いまする
そうしてこの詩をどこまで理解し
自分なりに噛み砕き身とするか・・・
TBありがとうございました。
おかげで、めぐり合えましたん^^
Posted by 弥々 at 2006年10月05日 14:37
マザー・テレサは、戦争の中に飛び込んでいって、
子供達を戦争から助けた事があったよね。
でも、心無い一部の人からは、ただのアピールだと批判の声も上がった…

おいらにはマザー・テレサの素晴しさ正直このような素晴しい詩にする事はできないです。だけど、彼女の一生をほんの一部分とはいえ見てみると、確かな1つの事だけは分かりました。
"優しい人"なんだなぁと。
Posted by Faster at 2006年10月05日 19:00
私もマザーほど献身できません。
でもたとえマザーと同じにできなくとも、それに近づくことはできますよね☆

自分がほんの少しでも他人に優しく接するすることで、ガラっと変わりますもんね(^^)
批判されても、いつか伝わると信じています♪

映画を見てめちゃA泣いたのを思い出しました★

「大きな愛で小さなことをするのです」
Posted by みにまむ苺 at 2006年10月05日 21:46
深いね。
今の僕にはおいそれとコメントできない深みを感じてしまう。
マザー・テレサの目が猛禽類のように鋭く恐いようだった、という表現は心を打たれました。
「言葉が多すぎます」というのもとても厳しいです。
彼女は、周囲をどのような眼差しで見ていたのだろう。
彼女の行動に僕等は何を汲み取り、何をすればいいのだろう。
Posted by かわしー at 2006年10月06日 00:50
弥々さんへ

コメントありがとうございます!
とっても光栄です。

茨木さんの詩には自分を省みて
背すじを伸ばしてくれる素敵なものが
とてもたくさんあります。

この詩も弥々さんのおっしゃるように
自分の身に噛み砕き、
何かの折りにふと思い出したいメッセージです。
Posted by どぅー at 2006年10月08日 01:10
Fasterへ

たしかにやさしい人だけど、
ときにその瞳はやさしさの極北を示していたと詠う
茨木さんの詩もまた真を突いている気がする。

自分を徹底的に無にすること。
そこにひそむ意志の峻厳さにはただただ驚嘆するしかないよ。
Posted by どぅー at 2006年10月08日 01:21
みにまむ苺さんへ

オリビア・ハッセーがマザーを演じているものがあるんですよね。
僕はまだ見たことがないので、ぜひ見てみたいです!

>「大きな愛で小さなことをするのです」
「Thinking Globally, Acting Locally!」にも繋がってきますね。
Posted by どぅー at 2006年10月08日 01:27
かわしーへ

そのやさしさを支える意志の強さを考えるととてつもない強靭さだよね。
彼女にとっての神はまさに愛そのものなんだろうと思う。

マザーは自分の家庭を大事にする行動こそが平和につながるんだと言っていたみたい。
そのために僕はまず彼女がほしいな(笑)
Posted by どぅー at 2006年10月08日 02:09
footprintからやって来ました。はじめまして。
マザーは自分を無にせずとも
ここまでのことをやってこられたんですよね、きっと。
そんな生き方を模索してたところだったので、
この茨木さんの詞、とっても響きました。
自分を無にせず、いかに全力で注げるのか
到底今の自分には見出せそうにないです(涙)。
また、おじゃましますね。
ありがとうございました。
到着点はまだまだ先だけど、ヒントをいただけた気がしてます。
Posted by パンダ部長 at 2006年10月09日 01:21
mixi足跡からきました。
マザーテレサにあこがれて マザー と名前をつけました。 

心理カウンセリングって、「何か特別な人が受ける」と思う人が多いですね。それと偏見もあるみたいです。生活空間の一部になってくれると「カウンセリング受けませんか?」声かけやすいのですが、ついこちらも身構えてしまったりするので、先ずは自分がリラックスしないといけませんね。
Posted by マザー at 2006年10月13日 00:15
マザー・テレサは看護師ではありませんが、最も尊敬している人です☆
高校生の時からいつかインドの死を待つ人の家にボランティアに行くのが目標です。
一生かかっても彼女のようにはなれないかもしれないけれど、一歩一歩近づいていきたいです。

何かどぅーさんの日記、引き込まれる物があります。
Posted by ゆき at 2006年11月05日 21:07
本当にマザーテレサは偉大な人だと感じます。本当の強さを持つとはこういう事を言うんだ・・と気づかせてくれた人です。
マザーテレサの事を考える時、自分の弱さ小ささを思い知らされます。
テレサの生涯を思うと涙があふれて来ます、熱いものが湧き上がって来ます。
叶わぬ恋の相手を狂う程焦がれる様なそんな感覚です。
何であんな大変なことが生涯できたのだろう?
何で?何で?
いつもテレサに問いかけます、
信仰の力か?
イエスまたはフランチェスコへの敬愛か?
あなたは凄い!本当に凄い!
それに比べて私はなんと愚かなんだろう。
頭で正しい事が解っていてもなかなか行動に移せないんだ!
それどころか心は愚かしい方向にはすぐ動いてしまう・・・。
でもあきらめない、でも近づきたい、テレサみたいに本当の強さ優しさを持ちたい。
負けないぞ〜自分になんか負けないぞ〜
リラックス・リラックス
自分に出来るだけの事をするだけ・・
ですよね・・・テレサ・・・。

こんな事を日々うだうだ考えかたつむりのごとく「方向だけはずれない様に」歩んでおります。

ドゥーさんゆきさんありがとう同じ様にテレサ大好きな人が沢山いる事に励まされました!!

             KIMI

Posted by KIMI at 2006年11月14日 22:49
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『マザー・テレサの瞳』(語り16)
Excerpt: 春の交通安全週間以来の語り日記ですねん茨木のり子さんの詩集『倚りかからず』の中から懲りずに、またしても語りまする茨木さんの思想が好きですねん最後は茨木さんの詩の中に己の矛先を発見するばかりなり・・・*..
Weblog: 弥々*とはず語り   
Tracked: 2006-10-05 14:40

あなたの中の最良のものを
Excerpt: 人は、不合理、非理的、利己的です。 気にすることなく、人を愛しなさい。 あなたが善を行うと、利己的な目的でそれをしたと言われるでしょう。 気にすることなく、善を行いなさい。 目的を達しようとすると..
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